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師匠(センセー)と弟子




吹き出る血が顔にかかる。どくどくと腕を固定するために拘束した縄が赤く染まっていく。その少し先に同じ様に赤く濡れた、しかし見覚えのある腕が落ちている。

そうしてようやく、自分の腕を斬られたのだと理解した。


「ゔァ、ンング…!!!!!!!!」

脚をバタバタさせても、“既にない”腕を使って抵抗しようとしても、その人はいつもの薄ら笑いを浮かべて血の滴る縄とはまた違う縄を取り出し、出血を止めようと切断部分をキツく絞めた。熱くて痛くて苦しくて、早く開放してほしいのに最早自分が何を発しているかさえもわからない。悲鳴すらまともに上げられてない子供(ガキ)の口に詰められた布を、更に強引に押し込める。

「まだだよ」

その声はどこまでも優しくて、しかし氷のように冷たい、悪戯をした子供のような、ないまぜになったものだ。
ふいにあたりの気温が上がるのを感じる。身を捩りながら思わずその人を見るがやはり変わらず薄ら笑いを浮かべたままだ。この人は生きているのだろうかと感じることすらある。その人の視線は自分の切断された部分を向けたまま、錬金術で発動させた炎をその人の手に巻き付かせ、

そうして、俺の腕を焼いた。



「子供の肉は久しぶりだな」

吐き気のこみ上げる嫌な臭いと、泣きすぎて割れるように痛い頭の隅でその人はまた笑っていた。悪魔のようだと思う、しかし少し前まで自分を育ててくれた神様のような人でもあったはずなのだ。綺麗で、少し火薬の匂いと血の匂いがする、すがる先にはもってこいみたいなヒト。少なくとも俺を捨てたアイツらなんかよりずっと俺を生かしてくれるって思った。
落ちた腕を大事そうに持ち上げて、俺にも見せる。つい数十分前にはまだ自分の物だったもの。

「君も食べ給え」

愉快そうにそう言う、その莠コを子供(ガキ)は睨み付ける、イカレ野郎と。口を塞がれて声さえ出ないから睨み付けるしかないのだ。
頷かない子供を前に、そうかい、とやはり薄ら笑いをそのままに、じゃあ調理をしてあげようね。鮮度が大事だ。まあ、そこの掃除は後ででも構わないから心配無用だよ。とあやすような声で台所に向かった。
腕が痛くて熱くてしょうがなかった。しかし縛られていて何も出来ないし、あんなに泣いたのに痛くてまた泣いて、抵抗する力は残っておらず机にそのまま突っ伏すしかない。突っ伏したときに血や焦げる匂いとはまた違う嫌な臭がして思わず顔を上げる。痛みと恐怖に思わず漏らしたのだと自覚して、さらに惨めになった。

生きる術が欲しかっただけだ。
黒髪に赤目で不吉で気持ち悪いと、人目に触れるなとこき使いながら結局子供を捨てたアイツらより、
本能のままに子供に食らいつく獣なんかより、
絶対に長生きしてやると思ったんだ。野垂れ死ねと望んだ奴よりも長く。
だから多少厳しくてもその莠コの傍にいるのは生きるために必要な事だと思った。片腕のない子供を雇ってくれたり守ってくれるところなどどこにも居ない。しかも曰く付きと言われたおまけ付きだ。だから、致し方なくこの人しかいないし、この繝偵ヨも子供に何かを見出したのだと、思う。

裏切りではない、多分、何となくだが、面白いから、試そうとしてるだけなのだ。少しだけ一緒に過ごしただけでもそう感じた。そうであってほしかったとも思う。試練のような、そう言うものだと。

「ほら、これなら食べやすいだろう」

差し出されたのは煮込み料理だ。言うまでもないが使われているのは子供の腕の肉だと、おもう。
君のぶんだよ、楽しそうに笑うその繝偵ヨに背筋が震えた。いいやこれは出血のしすぎで身体が冷えているのか?それすらもわからなかった。悲惨だな、これの掃除は骨が折れるね。とあたりを見回すその莠コを睨む。誰のせいだ。
煮込み料理の乗った皿を血だまりの中の、子供の目の前に置く。

「好き嫌いなどせずに残さず食べ給え。それを食べないと次の飯はないよ」

イカレ野郎。何度目かもわからない悪態を布を取り上げられすぐにつぶやいたが、掠れて音にすらならなかった。その莠コはまた笑った。

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